呪文の使用:MP制と事前準備制

私はプレイヤーをやるとき戦士系のキャラクターの方が好きで魔法使いはあんまりやりません。魔法使いが呪文を使うのにはリソースの制約があって、殴り放題の戦士に比べると無理が利かない気がするというのはあります。とはいえ、どんなシステムでもという訳でもなくてD&Dでは結構魔法使いは好きです。

私がD&Dの魔法使いが面白いと思う理由を考えてみると、大半の状況では使いづらいけど状況がそろえば強力な呪文が結構あったところにある様なのです。他のシステムの呪文はバランスは取れていますが状況次第で強力な呪文というのもあまりあり無い様に思えます。

D&Dがこういうバランスにできるのは、MP制ではなく事前に準備くというルールだからでしょう。MP制のルールだと覚えている呪文はいつでも使えるので状況次第で強力な呪文というのはルール的に用意しづらくなります。それに比べて事前準備していなければならないというルールだと、確実とは言わないまでも高確立で役に立つという判断ができるまでは無駄になる様な呪文はプレイヤーとしても準備できません。準備したとしても汎用的な呪文も用意しておかなければなりませんから回数は制限されます。つまり、一種の賭け的な要素がある代わりに強力にしやすいという訳です。

呪文に事前準備が必要というルールはD&Dの他には無い(RQの神性呪文も事前準備かな)と思いますが、これはナカナカ優れたルールだと思います。しかし、ほとんどのシステムではMP制が主流なのは、読みを入れなければならず外れた時のリスクが高いと言うのが理由でしょうか?

ちなみに『The Lunatic』ではこれは前述の様なことを考えた結果、単純なMP制だったのをWizardry風のレベル毎MP制に変えています。この方式だと事前準備制ほどの読みを入れる必要はありませんが、使用回数の制約が厳しいのでクライマックスに使えそうな呪文を温存するための戦略が必要になります。また、制約がキツい代わりにダメージ呪文等はいくらか強力にできます。これはバランス的にMP制と事前準備制の中間くらいの感じで悪くないんじゃないかと思っていますどうでしょうか?

TRPGの勝敗(そしてGMの目的)

よくTRPGは勝敗の無いゲームだと言われます。Googleで「TRPG 勝敗」とか検索すると「TRPGはゲームマスター(GM)を含めた参加者全員が楽しめれば勝ち」のような説明がたくさんヒットします(2011/4/15現在)。でも、私にはこの説明は納得いかないというか不十分な感じがします。こんなモヤッとした勝ち負けではなく、もっと明確な、囲碁とか将棋、その他さまざまなゲームの様な明確な説明はできないでしょうか?

私の考えでは、
・プレイヤー(GM以外の参加者)には勝敗がある
・しかし、GMには勝敗は無い
というのがうまい説明なんじゃないかな、と思うのです。

「PLの勝敗」とはPLが自分のキャラクター(PC)を介してゲーム(シナリオ)の目的を達成できたかどうかです。
「GMに勝敗は無い」というのは、「ゲーム(シナリオ)の目的を達成できたかどうか」という点において、GMは野球の審判のような立場だという意味です。審判には勝ち負けは無いでしょう? GMの役割は審判だけじゃないよ、というのはそのとおりです。実際、GMの役割は審判よりも半丁博打やルーレットの様な「ディーラー VS お客」形式のゲームの胴元やディーラーに似ています。どこが似ているかというと、ディーラーや胴元はお客の対戦相手を演じてはいますが、真の意味では対戦相手ではないという点(*1)です。GMもゲーム(シナリオ)ではモンスターやNPCを演じてPCの対戦相手を演じますが、本当の意味で対戦しているわけではありません。ただ違うのはGMは互角(以上)を演出しつつ最終的には負けてやるという風になると言うところです(*2)。

ではGMに勝ち負けがないのであれば、TRPGをプレイする上でGMの目的は何でしょう?
それはセッションの成功を目指し、そのためにセッションをマネージメントする、というのがGMの一番の目的だと思っています。「セッションの成功」とは「参加者全員が楽しいセッションだったと思えること」、「セッションに対する満足感が得られること」です。そして、そのためにはゲーム(シナリオ)の結果に対する納得感が重要だと思います。納得感とはPLの選択(=PCの行動)に対する結果が納得できるかどうかです。結果に納得がいかなければセッションには不満でしょうし、楽しかったとはいえないでしょう。反対に、シナリオの目的を達成できなかったけれども納得している、セッションには満足(不満は無い)という場合は十分ありえます。そして、「セッションのマネージメント」というのがどういうことかというと、大小発生する予想外の出来事に対しアドリブを含め(それと気づかれないように)PCとシナリオをコントロールしながら参加者(PLのみならずGM自身も)が納得できるようにシナリオを完結させる、と言うことです。

まとめてみます。

TRPGには勝敗はあるか?
・プレイヤー(GM以外の参加者)にはゲーム(シナリオ)上の勝敗がある
・GMにはゲーム(シナリオ)上の勝敗は無いが、セッションの成否はある(注:PLにもセッションの成否はある)(*3)

勝敗が関係ないならGMの目的は?
・セッションをマネージメントしてセッションを成功させること
・セッションの成功とは参加者全員が結果に納得し、セッションに満足できる(不満ではない)こと

一応、PLの目的は?
・ゲーム(シナリオ)の目的を達成すること(それがゲームでの勝利)
・そしてセッションを成功させること(要するにマナーを守ってちゃんとプレイするということ)

改めて言うほど変わったことはありませんが、TRPGの勝敗について簡潔に言い表せたのではないかと思います。


(*1)
例えば半丁博打の場合、一見胴元対お客の勝負のように見えますが、実際のところ胴元は半丁の掛け金のバランスを取っているだけで勝敗にはかかわりがありません。賭場の儲けというのはお客からの勝ちではなくてゲームごとに支払われる場代ですから、勝ち負けがそろっていれば賭場は何の損もせず確実に利益を上げられるわけです。
ただし、賭場全体で見れば前述のとおりであっても、一人一人のお客から見れば胴元との対戦であり、勝ち負けもあるというのは重要な点です。こういう風に見れないと何が面白いのかさっぱりわかりません。

(*2)
PL(PC)は基本的に仲間、つまり半丁博打で言えばお客が半方ばかりに賭けているようなものです。賭場の場合、これは困る(平で勝負して負けたら大損、繰り返すとしても収支が予測できない。イカサマで勝ちすぎればお客が離れてしまうし、負け越すわけにも行かない)のですが、TRPGの場合はPLが勝ってもGMが何を損するわけでもありません。むしろPLは努力した(と思っている)だけのリターンが無いと不満に思うはずなので、途中苦労してもらって最終的にはPCの勝ち、というバランスになるわけです。

(*3)
このセッションに成功(失敗)という考え方がTRPGの特性かというと、そういうわけではありません。囲碁とかM:tGでも「負けたけどいい勝負だった」、「勝ったけど全然だめ」ということがあります。どんなゲームでも勝ち負けとは別のレベルで満足したかどうかがあります。TRPGの場合、GMというゲームとしての勝敗にかかわりの無い参加者がいるのが特別なのです。

データを作るのは結構しんどいと言う話

4/9の記事でシステムを作り始めたらできるだけ早く公開した方が良い、と言う事を書きました。
昔書いた文章ではどんな事を書いていたか見直してみたら、同じ事を書いていましたorz。
つまるところ、期限を決めて集中してやらないと完成しないよ、という事です。

で、表題の話ですが、その前に少し昔話を。
大学時代のサークルの仲間にも何人かオリジナルシステムを書き始めたと言う人がいましたが、テストプレイまでこぎ着けたというのはありませんでした。彼らは総じて「基本ルールはできたから後はデータとバランス調整」と言っていた様な記憶があります。基本ルールが指すのは多分、行為判定、キャラクター作成、戦闘ルールでしょう。

さて、「基本ルールはできた」となれば大体どの程度完成に近づいたと思うでしょうか? 70%くらい?
感覚で言っても仕方ないので数字を示してみたいと思います。

まず、システムの構成要素を大きく「ルール」、「データ」、「世界設定」に分けます。ルールは主にキャラクター作成手順とか行為判定、戦闘等の処理手順に関する部分。データはルールで処理するためのパラメータを持つもの。世界設定もデータと言えばデータですがパラメータ的な要素の小さい部分とします。

現時点で『The Lunatic』の場合、ルールが100ページ弱、データが170ページ弱、モンスターが105ページ、世界設定が60ページ弱です。この中でデータに当てはまるのがデータとモンスターデータで合計270ページくらいです。
ざっと全体の65%ほど、半分以上がデータです。
市販のルールでも同じかそれ以上のデータがあります。
ということは、データができていないという事は相当量の作業が残っているという事です。

データを作成する作業が多いというのはこれでも分かると思いますが、データを作成するには別の困難もあります。
それは、全体のバランスを取るためには自分の興味のあるデータ、面白いと思うデータ以外のデータも大量に考えなければならないという事です。戦士のデータは充実しているけど盗賊はさっぱりだとか、魔術師の魔法は多いけど僧侶は少ないではテストプレイもできませんから。
他のシステムからアイデアを拝借すれば良い、と思うかもしれませんが、これも自分の考えるシステムの世界観と会わないデータは拝借できない等、ナカナカ難しい面があります。特に自作システムだけにしかないクラス等があればそういう部分が多くなります。

つまるところ、システム作成においてデータ作成は量も多ければ出すべきアイデアも多いので大変という事です。そして、ここで躓いてしまってしばらく放置している間に熱意が冷めてしまって完成しない、というのが結構多いパターンなんじゃないかな、と思う訳です。

システムに組み込まれた敵、味方

1週間余り前にコンセプトワークシートを書いた時から少し気になっていた事があります。
コンセプトワークシートでは「D.世界観1」の項目でPCの味方、そして特に敵についてかなり重視している様な感じがします。これを書いていた時には、古典的なというか汎用的なシステムをデザインするという事はあまり考慮されていないのかな、と思いながら書いていました。

『The Lunatic』の場合、一言で書いてしまうと「シナリオ次第」となってしまうのですが、これでは「何も考えてないから好きにしろ」と言っているのとかわらないので、「シナリオ次第だけど、~~の様にするのが推奨」と言う風に書いています。

これで問題ない様な気もするのですが、何となく気になって製品になっているシステムについてはどうなんだろうかと考えてみました。特定の世界に強く結びついいたシステムは自分自身の参考にならないので、あまり特定世界に結びついていないというか、世界設定の差し替えが容易そうなシステムについてです。

D&D
これは流石にそういうものは無い様に思えます。クラッシックD&Dはあきらかにそうでしょう。第4版の場合、モンスターマニュアルを読んでいると世界設定的に敵として規定されている様に思えるのですが、これは一般的に考えてそう特殊ではありません。

T&T
これもPCの敵とか味方は定義されていません。というか、第7版のルールブックだけでは世界設定の記述もあまりありません。

ルーンクエスト
これはグローランサという立派な世界設定があります。ただ、グローランサ以外の世界設定もありますし、世界設定とルールはいちおう切り離し可能でしょう。で、RQでは混沌の勢力かルナー帝国が敵、味方はカルトという事になるでしょう。

ウォーハンマー
これも世界設定とシステムの関係ではRQにちかいと思います。WHの場合、味方はいませんが混沌の勢力が敵ということになります。しかし、欧米人は混沌が嫌いだな。

ソードワールド(1.0の方)
アレクラストという世界設定を持っていますが、世界設定的にはプレーンな方だと思います。SWにはシステムが規定する敵はモンスターを除いてありません。モンスターはD&Dと同レベルかそれよりも能動的な敵としての設定は希薄に思えます。しかし、冒険者ギルドという味方の設定があります。

アリアンロッド
これも世界設定は持っていますがやはりプレーンな方でしょう。SWに似ていて敵はモンスターだけ(基本システム)ですが、神殿が味方ということになります。

その他にもファンタジー以外のジャンルで「クトゥルフの呼び声」とかいくつかを検討してみたのですが、この辺まで考えてみて、表題の設問について腑に落ちたというか、重視すべき理由がはっきりしたという部分があります。

まず「敵」、特に「能動的な敵」についてですが、設問からはシステムで用意したNPCとか敵対組織みたいなものを考えていたのですが、RQとかWHの混沌の勢力も「能動的な敵」の一種と言えます。「混沌の勢力」は人類の敵であってPCを直接ターゲットにしている訳ではありませんが、やはり「能動的な敵」なのです。
なぜか。私が思うに「能動的な敵」が重要なのはこれらがシナリオに登場するのに特に理由が必要ないからです。例えば人間の悪人であれば何か目的があって、さらにPCがそれにかかわる理由がを用意しないとシナリオの納得性が薄くなります。ひょっとしたらプレイヤーが事件に関わってくれないかもしれません。
しかし、RQとかWHで「混沌の勢力が……」となればそれ以上の理由が無くてもPCは関わってくれるはずです。これは大きい。シナリオ作成の手間が1/3は軽減される感じです。

そう考えると、「味方」はちょうどこの反対です。コンセプトワークシートの設問の意味からはずれてしまっているかもしれませんが、「味方からの依頼」とか「味方が困っている状況」というのは、「敵」ほどではないにしろそれだけでPCがかかわり合いになる強烈な理由になります。

この2つを組み合わせると「味方からの依頼で敵を退治」とか「敵によって困っている味方を助ける」というシナリオはかなり容易に作れます。というか、シナリオで一番重要なPCが関わってから解決するまでの内容に集中できます。そして、上で考察したシステムはどれもこのパターン以外のシナリオも問題なくつくれますから、特定傾向のシナリオに縛られるという事もありません。

私はなるべくマスターの負荷、特に準備に必要な手間を軽減したいと思っていましたが、なるほどこれは重要なことだと思います。『The Lunatic』でもモンスターの説明以外にもっと明確な「敵」か、何か「味方」に関する設定をすべきでしょう。
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